産学連携事業!大学生による香美町の水産加工・観光の分析がすばらしいので知って欲しい
こんにちは。昨日、香美町商工会より一冊の冊子が届きました。「令和3年度 商工会産学連携支援事業 香美町水産加工品の消費者需要動向調査における分析と提案」の報告レポートです。
昨年、東京都千代田区有楽町にて行われた街頭アンケートを元に、兵庫県立大学の学生が中心となり分析、提案をまとめたものです。分析内容が香美町の現状(関東地方における認知度など)についてあまりにも核心に迫る内容で、更にそれに対する提案もとても興味深い意見が述べられているので、お伝えしたいと思います。
目次
データ分析
今回行われたアンケートは、東京都千代田区有楽町にて2日間行われたもので、大きくは「東日本出身者」「西日本出身者」で分けられています。主に40代~60代の方がボリュームゾーンとして回答していただいてます。
水産加工品の購入頻度や興味ある(よく食べる)加工品の種類などの回答結果が得られており、中でも僕が注目したのは「兵庫県香美町、香住はご存じですか?」という質問。
圧倒的に、、、香美町は知られてません(笑)
写真は「東日本出身者」の回答結果ですが、いやー、、、ほぼ知られてませんね。事前情報として「関東には知られてない」という話は聞いたことはありましたが、こんなにはっきりと結果が出るとは。^^;関西ではさすがに知られてるよね、と思ったんですが、「西日本出身者」の回答結果もほぼ同じ。回答数自体は少ないですが、知らないと回答された方が圧倒的に多いです。
1つ救われた点が、「行ったことはないが知っている」と答えた方が「調べてみて興味を持てば行きたい」と回答している方が多いこと。興味を持ってもらえさえすれば、、、それが一番の課題ですね。
香美町にはカニがあるじゃないか!!!と思っておりましたが、その浅はかな考えもアンケート結果で見事に散ってしまいました。
カニと言えばどの地域を想像しますか?
「東日本出身者」と「西日本出身者」の回答は共通していました。
カニといえば、、、「北海道」と「福井県」
両者は圧倒的な認知度を得ていました。もちろん、兵庫県と回答されている方もいらっしゃいますが、かなり少数派でしたね。
全国各地の「○○カニ」と呼ばれるカニで何を思い浮かべますか?という質問についても「越前ガニ」と「タラバガニ」が上位にランクイン。そうですよね~、どちらも本当に有名です。いろんなところで知られていますし、何より美味しい。ちなみに「香住ガニ」の選択肢もあったようですが、関東においては認知度0。悲しい。いや、悲観的になっちゃダメです(笑)
2つの地域はどうして「カニといえば」の地域になったのか、いろいろ調べてみるとおもしろいことがわかりました。
北海道はなぜ有名なのか?
香美町がある兵庫県の方も「カニといえば北海道」というイメージを持っておられる方が多いと思います。とにかく広大な面積を誇る北海道、1年を通してどこかの港でいろんなカニが水揚げされています。山陰で「松葉ガニ」と呼ばれる「ズワイガニ」はもちろん、「毛ガニ」「タラバガニ」「花咲ガニ」など。まさにカニ王国。日本海においては「カニ=冬」11月~3月の漁業期間を設けられているので、圧倒的にイメージの差がありそうです。それよりも何よりも、「兵庫県が日本海に面している」ということを知らない方が多いというのが意外な事実なんですよね。。。
東京からは遠い北海道ですが、交通網や物流関係の発達、冷凍技術の進歩、物流や人の往来、メディアの露出などなど。北海道が知られる理由はたくさん考えられます。
越前ガニはなぜ有名なのか?
そして、「カニといえば」の代名詞「越前ガニ」。いわずと知れた福井県のブランドガニです。その知名度は本当にズバ抜けていて、生物学的な名称の「ズワイガニ」よりも山陰地域での呼び名の「松葉ガニ」よりもたくさんの方に知られていました。
正直、「越前ガニってとある港で水揚げされたカニをそう言ってるだけでしょ?」と思っていました。。。実はそうではありません。「越前ガニ」が有名なのは確かな理由がありました。
まず一つは、全国で唯一「皇室献上ガニ」であるという経歴。その始まりは1909年に東宮御所に献上されたことがきっかけで、1920年には大正天皇に献上されたという記録が残っているそうです。「皇室献上品であるカニ」という事実が、その当時かなりのインパクトがあったに違いありません。今でいうところの登録者1000万人のYouTuberに忖度無しでオススメされるぐらいのインパクトがあるのかもしれません(笑)認知度はうなぎのぼりだったでしょう。「ズワイガニ=越前ガニ」と認識されていた方も少なくないはずです。
皇室献上ガニは福井県三国港で水揚げされたカニが選ばれるそうですが、「越前ガニ」と呼ばれるカニは三国、越前、敦賀、小浜港で水揚げされるカニに付けられる呼び名だそうです。それも消費者にはわかりやすい。兵庫県でいうと、津居山港、柴山港、香住港、諸寄港、浜坂港で水揚げされるカニが1つのブランドで統一されて流通しているということですね。(現在、兵庫県でも「但馬産松葉ガニ」という統一ブランドを推し進めていますが認知はまだまだ)更には、ブランドを作る=タグを付ける、という取り組みを最初に行ったことも注目された点だと思います。福井県沖の海底環境や日帰り漁で水揚げされるメリットなど、様々な要因で「越前ガニ」というブランドが多くの方々に認知されているということがわかりました。
アンケート結果分析
アンケートの結果、学生が分析して導き出した結論は「香美町の認知度はかなり低い」「香美町、香住の宣伝力不足」に至りました。
ごもっとも。いや、本当にごもっとも。
優しい学生さんたちは、そんな香美町に「こうすればいいんじゃないか?」という提案をしてくれていました。ありがたい(T∀T)
1つは鉄道会社との連携。伊勢・鳥羽・志摩の観光周遊乗車券「まわりゃんせ」を例に出し、但馬内で観光スポット、旅館や飲食店などが連携しサービスを提供してみては?という案でした。ご参考までに伊勢・鳥羽・志摩スーパーパスポート”まわりゃんせ”のリンクはこちら↓↓↓
他にも貸し切りバスを用いた県内の観光やコロナ対策で行なわれた観光支援策を利用した提案、香美町のゆるキャラを活用した方法など若い方々のアイディアが盛り込まれていました。僕が注目しているのは香美町観光アプリ「kami-tabi」の存在。レポートにもそれについては詳しい現状と対策が提案されていました。
香美町観光アプリ「kami-tabi」の活用
香美町の観光情報をまるっと網羅するアプリとしてリリースされた「kami-tabi」。リリース時期には「五感を満たす旅香美町」という観光PRのための動画が制作されたり、紙媒体のパンフレットも合わせて刷新されたりと、素晴らしい取り組みが行われました。
しかーし、レポートに書かれている「kami-tabi」の評価は「かなりもったいない」「プラットフォームの参加者少ない」「アプリの価値が高いとは言い難い」という中々辛辣なご意見。。。まあぁ確かに、登録事業者も香美町全体を網羅しているわけではないし、そもそもあまり知られてないってのがかなり残念な点ではあります。
優しい優しい学生さんたちはここでも手を差し伸べてくれています。レポートの中でしっかりと明記してくれていることは、「このアプリを有効に活用できれば全ての課題を解決できるといっても過言ではない!」と提案してくれていること。このアプリを媒体に動画や紙媒体にリンクしているということもすごく大事なことではありますが、もっともっと「知られる」「知ってもらえる」取り組みを継続的にしていかなければならない、という提案をまとめてくれました。いや、かなり的を得たご意見。
アプリの存在を香美町の事業所に「知られる」取り組み、利用者に「知ってもらえる」取り組みをしなければならない。アプリとして事業所の登録が少なければ情報アプリとしては機能しません。まずは香美町の事業所の方々に「アプリの存在」や「アプリに登録することのメリット」などを詳しく説明していく。はい、むちゃくちゃ大事。そして、観光で訪れる方に存在を知ってもらわないと意味がありませんので、「知ってもらえる」取り組みも広く行うということ。はい、むっちゃくちゃ大事です。
香美町公式のTwitterやInstagramがあるのでアプリともうまく連携して、継続的に発信を続けていくと何らかの変化があると思います。要は継続。これが難しいんですよね。でも知ってもらうには継続していかなければなりません。他にもアプリ内でお土産などを予約注文出来たら、という意見もあり、様々なアイディアが提案されていました。
まとめ
今回のレポートには、香美町の課題や提案が盛りだくさん。現状を的確に把握するというのは大事なことではありますが、、、いやいや中々厳しい状況ですね。レポート作成に尽力された大学関係者の方、学生さん、本当にありがとうございました。この意見を参考にしつつ、僕の場合、「宿泊業」として何ができるかなーといろいろと考えてみようと思います。
香美町ははまだまだ伸びしろが山のようにあります。その伸びしろをそのままにしておくのか、うまく活用していくか。一気に進めようと思ってもうまくはいきません。地道にコツコツ継続が何よりも強い。観光アプリが生まれたことも大きな大きな一歩です。うまく活用して香美町がもっともっと盛り上がっていってくれたらいいなと思います!いや盛り上げていきましょう!!