明治13年に建てられた蔵を移築改装!「わら兵衛」ができるまで
おはようございます。お宿まる屋の若旦那、藤原啓太です。
まる屋の駐車場からスロープを進んですぐ右手に見えてくるのが「わら兵衛」です。明治13年に建てられた蔵を改装し、ご宿泊のお客様やお食事でご利用されるお客様の喫茶スペースとしてご利用頂いております。
ほっと一息つけるような、落ち着いた空間の蔵。お客様からは「雰囲気がいい」「ホッとできる空間」など、嬉しい声を耳にいたします。ありがとうございます。「わら兵衛」は2011年11月にオープンいたしました。オープンに至るまでの様子をお伝えします。
メンヨ工事にて移築工事
「わら兵衛」となる蔵は明治13年に建てられたものです。蔵は昔から現在の場所にあったのではなく、別の場所から建物をそのまま移動し現在の場所に設置いたしました。一般的には曳家(ひきや)工事といい、但馬や京都北部地域ではメンヨ工事というそうです。メンヨ工事は建物全体を移動、回転させたり、建物の基礎部分をかさ上げする工事をいいます。蔵を移築するためにまず最初に行われたのが基礎のかさ上げです。
僕が子供の頃はもちろん、大将が子供の頃から、蔵は県道沿いすぐの場所にありました。現在は、まる屋の看板があるこのあたりです。
そのすぐ近くにはエントランスへと続くスロープがあります。メンヨ工事は2011年の3月にこのスロープの高さまで蔵の基礎をあげていくことから始まりました。蔵を極力軽くするために内部にある物を全て外に出し、移動中の破損を防ぐため、補強を行いました。小さな木をいくつも重ねて少しずつ、少しずつ、蔵はせり上がり斜め後方に静かにその位置を変えていきました。
スロープまで上がりきってから次は、建物全体を90度回転させます。入り口が西側に向いている蔵を、一度、時計回りに90度回転させ、水平移動させてから更に時計回りに90度回転させて入り口を東側に変え、設置しています。せり上がってきた蔵の下にレールを敷き、蔵を回転させます。何本も木を組み合わせて、まる屋の駐車場の高さまでその位置を保ち、二ヶ所からジャッキで水平方向に圧力を加えていきます。少しずつ、そして着実に蔵は回転していきました。
無事に90度回転させた蔵を今度は水平方向に移動させます。駐車場の高さまでせり上げられた蔵はその半分をスロープ側に出している状態です。蔵の水平を保ちながら木を積み上げ土台とし少しずつ、少しずつ移動していきます。水平移動には重機が使われていました。基礎のかさ上げから90度回転、そして水平移動。スロープを移動し終わった後、ある程度の高さまで基礎を下げ再び90度回転させます。移動工程も最終段階です。あらかじめ基礎工事を施しておいた土台に蔵を移動させます。こうして元の蔵の位置から約1ヶ月をかけて現在の位置へと移動し、メンヨ工事は完了しました。
2011年11月「わら兵衛」オープン
門扉や土壁は明治13年当時のまま、新たに空調設備や照明、音響機器、寒い冬の時期も暖かく過ごして頂くためペレットストーブを設置しました。
おはようございます
明治時代に建てられた蔵を移築改装した喫茶スペース #わら兵衛
こちらには、ペレットストーブを設置しています
コーヒーをご用意していますのでゆっくりとお過ごしください(*´ω`*)
#まる屋 pic.twitter.com/eRf7nJycBz— 藤原啓太 但馬の魅力を伝えたい若大将 (@keita_maruya) 2017年11月15日
ランチでの利用やご宿泊のお客様向けにオーダー制のカフェドリンクをご用意しています。わら兵衛にてカフェタイムをお楽しみください
多くのお客様に大切な方とのご旅行のお宿にまる屋を選んで頂いております。ありがとうございます。「わら兵衛」で過ごした時間がご旅行の思い出の一つになればいいなぁと思っています。現在の「わら兵衛」は緑が生い茂る中庭にすっかり溶け込んで、いい雰囲気の蔵となりました。
小さなスペースですので、あまり沢山のお客様が一度に利用することは感染症対策の面からも難しいですが、ぜひ「わら兵衛」にてゆったりとしたお時間をお過ごしください。