城崎温泉の伝統工芸品 麦わら細工のこと
おはようございます。光と海と風を感じる海辺の小さな宿まる屋若大将、藤原啓太です。
兵庫県北部但馬地方の城崎温泉には、古くから「麦わら細工」と呼ばれる伝統工芸品があります。長い歴史とこの地域の風土に培われ、人々の生活の中で愛用されてきました。「麦わら細工」は兵庫県指定の伝統的工芸品に選ばれています。次の要件を満たした工芸品がその指定の対象になります。
- 日常生活の用に供されていること。
- 製造工程の主要部分が手工業的であること。
- 伝統的な技術・技法により製造されていること。
- 主たる原材料が伝統的に使用されていること。
(兵庫県HP 兵庫県の伝統的工芸品の紹介より引用)
城崎温泉に古くから伝わる伝統工芸品「麦わら細工」。同じ但馬の中とはいえ、城崎温泉以外の地域からすると実はあまり馴染みがありません。僕自身、以前は名前を聞いたことがある程度でした。しかし、その歴史や複雑な制作工程を知ると、その魅力に引き付けられていきました。
麦わら細工伝承館
「麦わら細工」は、桐の箱に染色された麦わらを貼り付け幾何学模様や絵柄を表現した工芸品です。「麦わら」とは、大麦の一種であるハダカムギの茎を乾燥させたもの。箱に貼り付けるまでには、節切→湯煮→漂白→染色→乾燥→展開という工程が必要になります。その詳しい製造工程や昔の作品を展示しているのが麦わら細工伝承館です。
ここでは城崎温泉と「麦わら細工」との歴史を知ることができます。「麦わら細工」は、因州(現在の鳥取県)から城崎温泉に湯治にやってきた半七という職人が竹笛やコマなどに色麦わらを貼って売り、宿料の足しにしたことが始まりだと伝えられています。その後城崎の方々により製造技術が向上し、複雑な模様を描く技術が確立しました。現在は限られた職人しか作ることができないものですが、昔は多くの方が「麦わら細工」を作ることができたそうです。
かみや民芸店
昔は城崎の家々には当たり前の様にあった「麦わら細工」。小さい子供が普通に触って遊んでいたそうです。しかし、今は「麦わら細工」と聞くと高級品のイメージが強い気がします。作られる職人が少なくなってきたり原材料の入手が難しくなる中、手仕事で作る工芸品に最近注目が集まっていることが理由として挙げられます。実際、決して安いものではないのですが(笑)高価な品、希少性の高い品というイメージも大切ではありますが、やはり手にとって実際に触れてみることで愛着や興味がわいて来ると思います。城崎温泉街木屋町小路にありますかみや民芸店では、麦わらを貼り付ける工程を実際に体験できます。
こちらでは、ポストカードやブローチなどを自分で制作することができ、その場で麦わらに触れて貼り付ける工程を体験できます。
先日、城崎温泉の #かみや民芸店 にて #麦わら細工 を作る様子を見せて頂きました
左側が装飾を施す前の桐の箱、右側が完成品です pic.twitter.com/bA47RrSLGX— 藤原啓太 但馬の魅力を伝えたい まる屋若大将 (@keita_maruya) 2018年3月4日
町並みや温泉を楽しむことも城崎温泉の魅力ですが、歴史や伝統文化に触れてみることもその土地のことを深く知ることができ、城崎温泉への旅がより思い出深いものになるのではないでしょうか。