昨年柴山漁港にて、柴山がにの選別作業を見学させて頂きました

   

こんにちは。光と海と風を感じる海辺の小さな宿まる屋若大将、藤原啓太です。

兵庫県北部但馬地方、今週は雨の日が多いようです。週末頃からは、気温が下がり早くも雪の予報も出ています。香美町の天候の状況など、またお伝えしていきたいと思います。

昨年僕は、柴山漁港で行われるかにの選別作業の現場を初めて見学させて頂きました。その時の記事を改めてブログに残したいと思います。小さな町の小さな港で日々行われているかにの選別作業の様子です。

 

柴山漁港所属漁船 松進丸

 

まる屋から車で2分の柴山漁港。コチラで水揚げされた松葉がには「柴山がに」と呼ばれています。柴山漁港は、「かに選別日本一」を掲げています。柴山漁港のかにの水揚げ、選別の様子を実際に見学させていただきました。

 

 

柴山港所属漁船、全10隻の中の1隻「松進(しょうしん)丸」は、僕の幼なじみの父親が船主、船頭を担う漁船です。船主(せんしゅ)とは、漁船の所有者で経営者のことを言い、船頭(せんどう)とは、漁船に乗る船の頭(船長)のことを言います。今回、選別作業の様子を見学させて頂きたいというお願いをしたところ、作業が忙しいにも関わらず許可をして頂きました。昨年に地元へ帰ってきたばかりの僕は、漁船関係者の知り合いが全くなく、唯一、かにの選別作業に出ている友人にお願いして見学をさせて頂きました。

午前7:00から始まる競りに間に合わせるために夜通し、かにの選別が行われます。柴山港で水揚げされる柴山がには、昔から特定の基準により、クラス分けをされます。その選別クラスは大きく分けて次の通りです。番ガニ、出ガニ、沖ガニ、箱ガニ、ブラガニ。

これら1つのクラスに対し、身入りの詰まり、成熟具合、殻の状態から選別されるクラス、ボタガニ、ススガニ、スレガニ、に加え、そのクラスの大中小、又は、大小に分けられ、そこから更に足が1本落ちているもの、2本落ちているものなどと細かく選別されます。

柴山漁港で水揚げされる柴山がにの中で、最上位に選別される「番ガニ」。その中でも、更に状態外観が優れ、重量が1.35㎏以上あるものに「柴山ゴールド」のタグが付けられます。

 

2016年11月17日 午前3:00

 

この日の松進丸のかにの漁獲数は18,630枚。その選別作業は、16日午後11:00から始まりました。僕が作業現場に伺ったのは午前3:00。もちろん選別作業の真っ最中です。

かにの選別はどのようにして行われるのか、船主の友田さんに話を聞かせて頂くと、昔と今とを比べると選別方法は変わってきているそうです。柴山漁港では、昔から今と同じような選別基準がありました。その頃の選別作業で最も重要なのが感覚です。

 

選別の必須アイテム

 

まず、このような道具を使い、甲羅の大きさで分けていきます。そして、手に持った重量、身入りがあるか、殻がしっかりと硬いかなどを感覚で判断します。更に、かにの表面の状態、キズがあるか、足が短いか、ススがついたように変色しているか、などを目で見て判断し、選別していきます。

現在では、これらの選別方法に加え、更に正確さを求められるようになりました。例えば、「番ガニ」は、1.2㎏以上のものと決められています。従来の選別基準に加え、正確な「数字」を求められるようになり、選別作業ではより一層、精度を必要とされてきました。

柴山漁港では選別基準は決められていますが、漁船から水揚げされて競りに出されるまでの作業工程は、各漁船によって様々です。今回、現場を見せて頂いた松進丸の選別作業は、g数を計測するところから始まります。800g~1100gを100g単位で仕分けし、選別していきます。

 

 

午前3:00から始まったのは、大きなサイズのかにの選別でした。800g以下のかにはすでに仕分けられ水槽に入れられています。1200g以上のかには1つの水槽にまとめられ、後で選別されるそうです。g数をはかり、クラス分けされたかには、一枚ずつ表面の状態を見定め、更に細かく選別されます。この時に先ほどの道具で甲羅のサイズを測り、選別の基準としています。

 

 

午前4:17 計量終了

 

1200g以下のかにの計量が終わったのが午前4:17。しかし、手に取って選別する作業はまだ続きます。選別が終わったかには、柴山漁港で水揚げされ特定の条件を満たしたかにの証であるピンク色のタグが付けられます。全てのかにに付けられるわけではありません。

午前4:55、かにの状態を選別する作業が終わりました。次は選別されたかにの水槽にどのクラスのかにが何枚入っているか、仲買人にわかるよう表示していきます。細かく分けられた水槽全てに詳細が貼られていきます。

 

細かく選別されます

 

これらの作業を行う方を「選り手(よりて)」と呼んでおり、その中心となるのは船主、船頭の家族(主に奥さん)です。柴山漁港に所属する漁船は、船主と船頭を同じ方がされる場合と、別々の方がされる場合とがあります。今回、現場を見せて頂いた「松進丸」は、船主、船頭を一人の方がされています。選別作業は、船員が行う場合もありますし、特に人手がいる場合は地元の方々の力を借りて行っています。

 

1200g以上のかにの選別

 

 

水槽に入れられた大きなかに

 

午前5:15 水槽にまとめて入れていた1200g以上のかにの選別が始まりました。手順は同じです。g数を計量、仕分けをして、手に取って選別していきます。大きなクラスになると正確な数字の判断と共に感覚での判断が重要になるので、最終決定は船主の奥さんにゆだねられます。この作業中、かに以外に漁獲されたもの、バイ貝やカレイ、タラが船から運ばれます。

空が徐々に明るくなりだした午前6:10。全ての選別、水揚げ作業が終了しました。休憩所で軽めの朝食です。でもこれで終わりではありません。

 

「ウゥゥーーー、ウゥゥーーー!!」

 

午前6:30になると、柴山中に鳴り響く競り30分前を知らせるサイレン。この日は、帰港している漁船が3隻ありましたが、松進丸の競り順は1番目。サイレンと同時に準備に取りかかります。

サイズの大きいクラスのかには、1枚ずつシートの上に並べられます。仲買人に、状態をよく見てもらうためです。セコガニを覆っていた保護シートもはずされて、いよいよ競りの準備が整いました。

 

かにを丁寧に並べます

 

 

並べられたセコガニ

 

 

午前7:00「カラン、カラン」という鐘の音と共に競りが始まりました。この日帰港した漁船のかに総漁獲数は、オス、メス合わせて55,585枚。その他、タラやカレイなども水揚げされており、全ての競りが終わったのは午前9:35でした。競りが終わってから各業者、仲買人が競り落としたものを回収にまわります。その後で水揚げ作業、選別作業の片付けを行います。全ての作業が終わるのが、お昼ごろ。本当に大変な作業です。

 

 

かににかける情熱

 

この日、松進丸から水揚げされたかにの中から「柴山ゴールド」がでました。漁師の方々に、本当に感謝です。柴山がには、基本的に活きた状態で競りに出されます。しかし、どうしても死んでしまうかにもでてきます。そのようなかには活きているものとは別に選別され、競りに出されます。この日、松進丸から水揚げされたものはわずか68枚でした。

「活きているのが当たり前」という漁師、漁業に携わる方々のかにに対する熱い情熱を感じることができました。柴山漁港で水揚げされる柴山がには、漁の期間や時期、漁船によっては船内冷凍のかにも水揚げされています。

 

柴山は何もありません

 

柴山には、大きな観光施設もなければ、スーパーもコンビニもありません。ですがここには、かにがあります。かにを獲ることに情熱を燃やす漁師の方々がおられます。その帰りを待ち、真夜中の漁港で作業をされる家族や地域の方々がおられます。柴山漁港で水揚げされる柴山がにには、そんな方々の想いが込められています。

「かに選別日本一」とは、かににかける熱い想いが長い年月をかけて、造り上げたもの。柴山の方々と一体となって生まれたこの港は「日本一」であり、「唯一」の存在だと思うのです。まる屋にお越し頂いたとき、またはどこかでピンク色のタグのついた柴山がにを見かけられたときに、この想いを感じて頂ければ幸いです。松進丸の船主をはじめとする皆様、作業現場でお忙しいにも関わらず、お話を聞かせて頂きありがとうございました。柴山がにの季節は、まだまだ始まったばかりです。2017年3月末まで、安全に豊漁となることを心よりお祈りしています。

 

 

 

 

昨年書いたブログ「かにと生きる港1・2」に少し加筆いたしました。2017年11月6日より、松葉がに漁が始まりました。2018年3月末まで続きます。年々、漁業を取り巻く環境は厳しくなりつつあるそうです。まずは、安全に操業できることを心からお祈りしています。


 - 漁業のこと

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